おやじ三人高速600キロ前編

polnareff2007-01-30

 1月30日午前11時、新大阪駅中央改札にて集合。ひょうたんの前に集うのもマヌケな我ら、竹谷・前川・ポのヴァーミリオン・サンズ選抜トリオ(以下VSトリオ)はプロモーション取材を受ける為に今より東京へ向かうのだ。ぼくは久し振りの新幹線乗車にアガり気味で駅弁、ビール、バーボンなどをやっつけながらの車内読書は文春とスプラッター映画辞典也。富士山を背に「酒のアテはマメやマメや。車内販売のねいちゃんにビシッとマメを要求するで、しかし」と大口叩いてみたが、おねいさんを前にすれば「あ、マメ的なおつまみを頂けませんでしょうか」と柿ピーを購入するぼくとは何と紳士然とした爽快漢であろうか。そんなミントの香り漂うのぞみは、高速で平均年齢46.7歳VSトリオを東へ運ぶのであった。午後3時近くに赤坂見附駅下車、担当のムラカミ氏の案内でエイベックス本社へ。ここで我らは今日・明日両日で計8誌8時間の取材を受け続けるのだ。切り口上を備えずば、やがて真摯の言葉を導きて、益荒男としての潔しと高を括れば、何と甘ちゃん、アメチン、アメキン、アメコンな我々であろうか。トップの朝日新聞社アエラ」の冒頭質問、J.G.バラードの原作との相関性へ言及するに、真摯の言葉こそ高が知れ、いずれも寸胴足らずの説明は虚しく宙に放たれて、言葉は無情に消え失せる。先の先程までのレツゴー三匹よろしき意気揚々は何処にやら、どうやら我らはそれぞれが取材ブースの椅子にゆったり腰掛けていながら、その実は呆然と心が立ち尽くし、今やまさしく帰れない三人も完成間近なのである。しかしその際に「原作のエピソードより赤き砂なる表題イメージが生み出す退廃と無限性」を語ったぼくを何と誉めてやれば良かろうか、恐らく誰もがそのセリフを聞いていなかったであろうから。故に「何せ通読した者は二人だけですから」と半笑いする三人のおじさんしか居なかったのである。しかしだ、ダウンすれどもファイティングポーズだけは涼やかに決めたいVSトリオ、続くクラブ誌「ラウド」はノーガードよりも俄か仕込みのピーク・ア・ヴーが効奏したかの感。そしてポップグループの拡大解釈と喝破したマツムラ氏による「スタジオ・ヴォイス」は、またも剛速球の名言が飛び出せば思わず唸り声も上がろうもので、続くフリーペーパー「バウンス」までの空白時間、隣ビル内居酒屋魚民へ逃げ込んで意思の疎通を改めて、言葉少なに鯨飲すれば、自然体こそ美しき哉と勢い付けて再びブースで誤爆の結果。さて恐らく黙殺カット必至であろう本日のハイライトには「竹谷翁は1941年、戦前の生まれである」「2009年までに計6作のアルバム制作」「アルバムスリーヴはSPKのファーストへのオマージュである」「二律背反だからこそ生まれる三つめの政治性」「音はそこにあるやん、音は聞こえてるやん」などノミネート。その後、深更までムラカミ氏と恵比寿の居酒屋で痛飲。何故か海草世界の真実を喋り続け、我に返ればホテルの小部屋で真っ裸、傍らにはスプラッター映画辞典が開かれており、そのページを見やれば「発情アニマル」と。嗚呼。
HNSNSN120(モリコーネ映画音楽集)