コヤニスカッティ・エコーズ④

polnareff2006-04-18

 血の味に纏わる凍えた空気を、深更になって粘塵の浮いて来た左腕の肌に刺しながら、厭らしく鈍い光沢を持った象牙色のケント紙の上を滑るペン先の響きだけに耳を傾け、わたしは降り出した雨の斑点が濡れ汚し、羅列される青黒い不定形な文字を思い、再び死骸の光景にかぶりを振りつつ呟きを漏らす。「拝啓、我が祖国。震えは、現在、我々の身柄を拘束している。拠って我々は我々の身代金を祖国に要求するものとする」柔らかな繊毛のひとはきが刻む金属の交響と倒錯は、太古とおのれの前に横たわる亡霊と空虚を貫いて、しかし罪無き者をソドミーに堕とすに足りる湾曲と、圧力に奇形した哺乳類の背骨の髄節に彷徨するのだ。そしておのれの陰嚢が思い描いた音のさざれは、阿呆のように繰り返し、音楽を発狂に誘う。わたしの家族さえも陵辱の黒衣の裡で手を招かれて、おぞましい何者かの口腔が打つ唾液の鼓に心囚われて歓喜に悲鳴している。群れ礫のような雨がわたしの家を茫漠の空に縫い針を振るう。コヤニスカッティ・エコーズ。イメージ案、その2。ヴァーミリオン・サンズ、5月の東京ライヴの詳細が決定しました。コチラで確認出来ます→ヴァーミリオンサンズ・ウェブ。画像はフライヤー。デザインは大野雅彦氏。