コヤニスカッティ・エコーズ③

polnareff2006-03-27

 フリーピープルでリハーサル。ブライアン・ジョーンズみたいな格好の男は、手にエルサレムへの妄想を書いたメモを持って、「此れ即ち虚無である」と言えば、洋行帰りのスガッチャンが吹き出している。ソルマニアは2000人のアメリカ人の前で、あの怪奇な形状のギターで轟音をお見舞いして拍手喝采、アンコールを求められたとの事。ボスとシャーリー・コリンズからペンタングルの話、今北君とロバート・デ・シモンの話。ここつまさんの妄想タイム、オイル&ブラッド構想など。それでは妄想と嘘とぼくの夢が、ない交ぜになったエルサレムメモを公開。 
 かつてアンガーの友人の一人で、アポロ計画の為に新しいロケット燃料の開発研究していた学者がいました。しかし或る日、彼は妻の目前で黒服の男らに誘拐されてしまいます。その後数ヶ月の間、妻の元にロケット燃料に関する脅迫が続きますが、しかし夫から言い含められていた彼女は頑なにそれを拒否した結果、彼は死体となって発見されます。妻に言わせると、夫が開発した新燃料は人智の及ぶ領域ギリギリの画期的なもので、それ以外では人類は宇宙へ行ける筈が無い為、アポロ計画は大きなでっち上げに過ぎないというものでした。夫を失い傷心の彼女をアンガーは撮影中の映画「ルシファーライジング」に、アンガー独特の不自然に振動するスローモーションアクションで、何かの暗号を示すような演技をさせて出演させました。が、しかし主演のボビー・ボーソレイユがアンガーと決裂した為に、それまで撮影済みだったフィルムの大半はボーソレイユによって盗まれ、モハベ砂漠のどこかに埋められたまま、その出演シーンも現存していません。その災難を免れたフィルムで構成された作品が「わが悪魔兄弟の呪文」で、「ルシファーライジング」は新たに作り直されたものです。このエピソードを元に、エルサレムを月と規定し、その犠牲となったものに現存しない「ルシファーライジング」と規定しました。いわゆるメタファーですね。そしてただ砂だらけの砂漠が広がり、風が吹いて砂の表面は変わっても何も変わらない虚無の光景、しかし風が吹いて砂が少しずつ動いて、埋められたフィルムのリールケースに触れて起きる微細な音との対比を据えています。更に目に見えないものへの想像は果たして妄想なのか、着想のダイナミズムなのかという対比も、同じく虚無とそれを破るものとして据えています。それは月が夜空の目玉なのか、外宇宙からの覗き穴なのかは分かりませんが、ただ夜空に浮かんでる月の光景と、フィルムケースが起こす月へのメッセージ発信も同様です。らしいですよ。
COCKSUCKER BLUES
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