唾棄すべき愚鈍なる生涯とぐろする市井にて

polnareff2005-09-21

「虚無王通信 二」

4分33秒、すなわち273秒。273は零下にして絶対零度を示す。世界の終わりに流れる音楽を考えるに、このジョン・ケージの作品のことを思い浮かべる。音楽とは斯くも退屈なものなのか。時間とは斯くも濃厚なものなのか。そして情報とは何なのであろうか。概念とは何なのであろうか。他人の賞賛とは、つまり愚かな囀りに過ぎぬことを君はお互いの胸に輝く緋文字で知っている筈であろうに。あらゆる時間が音楽足り得れば、ようやく君は黙殺を知るのだろうか。その時、それは果たして音楽であるのか。幾万光年の彼方に響く、「4分33秒」は音楽足り得ているのか。失われた時間の全てが緩慢な自殺ならば、君は誰を殺し、誰に殺されねばならぬのか。君は僕と同じく盲目なのだ。そよぎとせせらぎに身を震わせて。

「テレビとアルコールの虜9月21日記」

堺正章の「マジシャン刑事」を観る。下らないドラマ。マチャアキが段々自民党のとっちゃん坊や山本一太に見えてきてムカムカしてくる。おりゃあ。最近テレビCMでパイロットの「マジック」が使われてるね、大好きな曲。珍しく忙しい一日なので奈々子と遊べず哀しい。隅田川乱一「穴が開いちゃったりして」を電車で読みながら、出張レコード販売へ西淀川までトボトボと。スタジオボイスよりチェック原稿届く。ハチャメチャな無軌道トークをまとめ上げた編集者の力業に感謝。夜半にライブ用のグラフを清書、更に24日の関係者用パンフレット制作、今回の表紙は実際はもっと鮮やかだけど、上の画像で。夏来たらじ日本海ではしゃぐ眉松さんと僕の姿をとらえたKKラングレーさんの写真を使わせて頂きましたよ。事後承諾になりますが、いいですよね? デス松さんからのメール、ホメラレタことのない僕には嬉し過ぎ、なので抜粋して見せびらかせますよ。「スタジオのマイクの前で力が入りすぎてたのがカッコよかった」とな。どうだ。どうなんだろう? そうしてツアー車内用CDR編集にて深更まで。さあ禁酒だ禁テレだ。アソレソレ

「ヒアナッシング・シーナッシング・セイナッシング89」

88は特別篇なんで今回は89。ベルギーの女の子がロンドン留学、音楽サークルに入って「アタシさぁニューウェーヴならジス・ヒートに限るわよねぇ」と言ったかどうだか知らないが、部屋の片隅に座っていた男がおもむろに立ち上がり、「お嬢さん、わたしがそのジス・ヒートだったりして」とプロデュースまで請け負って、「でもさーアタシさぁちょっとデビー・ハリーも好きだったりするジャン」と言えば、ジスのみんなはモテナイ君だもんね、「お嬢様の仰せの通り」とばかりにアルバムのみならず、こんな与太話まで作り上げてしまった、正に早過ぎたポストロックバンド、ファミリー・フォダーの小特集でんがな、まんがな。教訓:六本木のワガママ娘にもてあそばれたいな四十歳。
Hear Nothing,See Nothing,Say Nothing/89
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