ボラギノール・カウンタック

polnareff2007-03-14

アングラ前衛劇団イルネパをご存知ですか」
魔法少女のように片手をクルンと回して退場したり、説法調の中にもテンカン発作のホエザルのようにキーキー喚く病的な汗かきさんが居る劇団ですね」
「滑舌の悪さで言葉が胸に響かないからか、暴言や差別語で子供のような自己アピールもしていますね」
「しかしよくご存知ですね」
「ウチら、あそこの者ですよ」
Sッチャン、頭が冴えた気がしないと言ったのは失言でした、謹んでお詫び致します。おかげで2007年イルネパの道に光明が差してきました。血の掟は沈黙で応える秘密結社イルネパであるが、同時にお喋り好きなおっさんでもある。
そのコンセプトは速度と停止の妄想状況論なのかも知れない。そしてそれはフンッフンッフンッフンッと荒い鼻息と共に音読される「ルッツ・ウルブリッヒ」「ミヒャエル・ヘーニッヒ」「アックス・ゲンリッヒ」「フォルケ・ハンフェルト」ら、アジテーション・フリーのメンバー名が偏見の一点で結ぶアドルフ・ヒトラー像、その反極にて結ばれる像とは果たして何であるのか、何を要因としているのかを探る旅なのだ。それは『ボラギノールカウンタック』なるフォークロアを創造すること。痔のレーサーを巡る魂の彷徨は、エグゾーストノーストの狂った咆哮に描かれた寓話である。異界電波に帯磁したバニシングポイントは速度が紡ぐ血飛沫のバラードを歌う。または騒音と耳鳴りが語るデスレース。それら内燃機関の蹂躙に洩らす獣の声、捲れ上がった肉質を波打たせ、よじれる声。それらのまぼろしの様な響きの果て、フラッシュバックの乳白色にあなたは器官なき身体の愛撫と断章を見るのだ。それこそが理科室の蛸人間である。
WARAIMESHI