polnareff2006-06-28

 1983年、イタリアのタコことニヤけた色男ガゼボが歌い大ヒットした「アイ・ライク・ショパン」は、静かに燦めくメロディと物憂げな歌が印象的なナンバー。或る夜、それを耳にした元スパイダースのキース・ムーンこと田辺エージェンシー社長の田辺昭知は、傍らに眠る馬ヅラの愛人を見下ろしながら「これはイケる」と確信した。日本語カバーである。問わず語りのような無意味な原詩を松任谷由実に作詩させ、それをアンニュイ路線へ転向を決めていた、くだんの愛人に歌わせりゃ「バッチリじゃん、おれ天才じゃん」とトントン拍子に物事進み、かくて84年「雨音はチョピンの調べ」は大ヒット。小林麻美はアンニュイの代名詞へのし上がることになった顛末。フレデリック・ショパン前奏曲「雨だれ」を念頭に置いて、恋に身もだえる女を歌ったこの曲は、まさしくショパン「雨だれ」の世界を表したものであろう。秋雨の降り続けるさなか、死の病いに憑かれてピアノを前に作曲するショパン。その横で見守る恋人ジョルジュ・サンド。途切れなく続くピアノのメロディに軒下から滴る雨のしずくを見出したサンドは、作品に題名を付けぬショパンに代わって、その作品に「雨だれ」と命名した。陰うつな雨のイメージに明るく美しいメロディが絡む、この「雨だれ」こそショパンとサンドの愛の終末を、二人で哀しく祝った曲なのである。でもそうじゃないかも。さて音楽はジス・ヒートのガレス・ウィリアムスのガレシング・ラジオ。そしてNWW関連のオーディオブログinsect & individual