高速移動する9人のおじさんってなーんだ?②

polnareff2006-05-28

 そんな風に会場で知人に、今夜の出演時間を訊ねられると即座に「夜中の1時10分だ」と宗方は答えておった次第、それは他の8人の宗方おじさん達も同じ答えをしていた筈。だのに、何たルチアのサンタルチア、ぼく達の失敗ならぬ宗方達の思い込み、「出演予定時間には、まだ1時間あるじゃないか、わあっはっはっは」とタカをくくっていたのである。ところがギッチョン、1時間分の勘違い。その時、九人の宗方達は、それぞれ異なる場所で同時に声を上げたのだった。「え〜っウソや〜ん」、しかしそれは事実なのである。徐々にステージでサウンドチェックが始められているのだもの。果物だもの。いそいそと楽屋で白ふんどしを締めていると、大野メンバーが「うっひゃあ」と叫びつつ飛び込んでくる。いつもは辛口の大野メンバーであるが、今夜は豆鉄砲を喰らったようにバタバタしている。コチラがチンチラなのに。今夜は彼からプレゼントされた白黒ストライプのパンツにピンクのシューズだ。黒革ソフトは何処へとあたふたしながらステージサイドへ。ボスの「シット!」の声で幕が開く1曲目「第三の男」、これは換骨奪胎の唄である。此の血痕はオイルの染みであった。大いなる海は街であった。くだんの男とは、つまり鮫、そして人の片足である。平和と進化は惨殺と略奪に等しいことを歌う。2曲目「昇天梯子」は、世界の閉塞をマリアを象った拷問台アイアンヴァージンとトラバサミの唸りに幻想する。しかし汗を流して紫煙も濡れる。ぼくはスピード過剰である。楽園幻想が明滅する。そしてELP「恐怖の頭脳改革」でお馴染みの「エルサレム」をテーマにした3曲目「そよぎと」、ケネス・アンガーの「わが悪魔兄弟の呪文」とアポロの月面征服に炙り絵にしている。キーキー声で獣声で喚く。目の前が暗くなる。ストーリーの歪曲は多少あれど、面白かったライヴ。終了後、物販のCDRは完売状態になり、ビックリ。ルーズジョイントのしゅん君と会い、握手。ナマステさんがビデオを撮ってくれていたみたい、後日DVDにして送ってもらえるとの事、感謝。女傑モリザネさんにイジメラレて撃沈しそうになったけど、イニキちゃんにお揃いのTシャツをプレゼントしてもらってウハウハ。NP鈴木君に檄を飛ばされる。ウッシャー。ミッチュンとニコのハナシ。続くECD&イリシットツボイ、歪曲とポップの杓子定規から遠く離れたヒップホップ本来の革新性を改めて思う。しかしECDの過激な真摯に、この宗方なぞの阿呆講釈は無用である。そしてハードトランス化したクラスのようなRFD、魂が抜かれた音楽の残骸の果てにテクノの真髄を見出したか、ならばレジデンツに向かえば望むものはある。L?K?OのDJでシメ、終了。朝の五時に天下一品、こまわり君の「死刑」のポーズをキメたまま昏睡、目が醒めればアルタレイションズのダブに震え、ジェローム・クーパーのマリンバでツルツル滑りながら心躍る。ドキンちゃんの財布を姪のナナコにお土産に。さて叱られる執事のマネをしながら高速移動する9人のおじさんとは誰だ。