秘境は影法師を闇に、虚無を怪物に変え

お久し振りです。今年の夏はノーパンに非ず、クラッシックパンツで行こうと決めた赤フン紳士こと、でめきん君です。ヴァーミリオン・サンズ夏合宿より愚鈍なる二週間、全くエルドンチックな恍惚の毎日を続けております。エピソードのほとんどが忘却フォーゴットンの、第一回合宿も無事終了、竹谷隊長より支給されたお揃いのヴァーミリオンTバックの幻影が熱く灼付き、空飛ぶ夢に寝汗の夜です。冗談はさておき、近況ダイアリー。
6月18日十三ファンダンゴにてルード・ボーイズ主催の「ファイト・オア・フライト4」。どろろを熟視聴。終了後、楽屋へ押し掛けての無礼三昧、失礼致しました。しかしXOYO、ソルマニアと三角に繋がるヴィジョンがより明確になり自己満足。どろろは紅蓮の炎渦巻くグラム・サイケが似合う。翌日より猛省、よって惰眠の日々。
いつまで経っても今北君にプレゼント出来ない文庫本が此処にある。種村季弘編集「日本怪談集下」、その最後を飾る折口信夫「生き口を問う女」を読んで貰いたく、懐に入れて外出し、懐に入れて帰宅するを繰り返して愚か。
6月24日心斎橋燦粋にてコウヘイちゃん主催の「ハンドシェイク4」。メインのエアーボーン・オーディオは、噂のアンチ・ポップ・コンソラソンソンのメンバーによるユニット。真夜中のスタートまで今北君とロッジでしばらく焼酎。泥酔の頃に竹谷隊長、本荘さんも現れて、急遽BANTOH KHAN & DECCI DAWN選曲による13チューン・エレベーターズをヘベレケでグダグダで収録。アール・ブリュや唯物史観への考察は、ギリギリと締め上げられていくような緊張がしばしばあって、スリリングな体験。
真夜中も過ぎゴールデン・ファッジ・ケーキ経由で燦粋へ。ナオト君、ミッチュンらと逢い四方山話。隊長に500円借りて「ええおんながいっぱいおんな」、さて意識朦朧の内に現れたエアボーン・オーディオは音楽性の高さ故か、予定調和を嫌う感覚差か知らぬが理解不能。口惜しきは、刹那的に美しき断片も「オッサカ」コールで元の木阿弥。主流から余りにも遠く離れてしまった自分に愕然、げに恐ろしきは頑迷かな。悪態も尽く夜明け、始発電車の時刻までナオト君を前にして馬鹿の演説を小一時間。同席の南部さんと松本君、御静聴ありがとうございました。足元斜めに帰宅後、昏睡。
映画「戦国自衛隊」、改めて出演者の豪華さと深作欣二の演出力に驚く。何故に「戦国自衛隊1549」というベトナム帰還兵向けの映画を作ったのか。半村良の原作があればこそ荒唐無稽さにも、映像化にも意味があるのに。これは自己の剥奪と奪還をテーマに人間の墜落を描いた作品である。連続した時間と空間に於いて、過去の復元なぞ出来よう筈が無い。彼らは歴史ではなく、タイムパラドックスへの盲目的信仰に翻弄され、殺されるのだ。真夜中、駐屯していた寺に火を放たれ、そこが本能寺であったラストのカタルシスは素晴らしい。名作である。またこの作品には観客と同じ視点の人物が配置され、不思議な感触を与えている。(その人物はミュージシャン高橋研演じる長髪、サングラスの平井隊員)
昨夜、プレゼントしてもらったXOYOのミックスド・ライブCDRの新作を聴きながら思う。秘境は影法師を闇に、虚無を怪物に変えるが、しかし退廃を飼い慣らすより悲鳴を以って否定した無意味こそ僕には美しい。だからこそXOYOの音楽や竹谷郁夫の絵は美しいのだ。
"XOYO NITE"CDRは、Golden Fudge Cake,Ignition Recordsにて絶賛発売中。