サンダとガイラ=アルツハイマー

積ん読濫読。篠田節子「聖域」、読む者を破滅へ導く未完小説を巡ってのド根性編集者物語とは体裁だけで、生と死の観念を解読しながら至福体感に至る問題作。ユイスマンスの宗教感を想起する。加筆修正した後には必ずや傑作と成り得よう。坂東眞砂子の短編集「葛橋」には、やるせない結末への三つの道行が収められているが、しかし発表6年後の現在、この日常に潜むホラー感の風化の速さが恐ろしい。ロシア紀行を綴った武田百合子犬が星見た」は、その天才的な文章力に感嘆。ざっくりとした平易な文章の中でキラ星の如く繊細さと好奇心が輝いている。チョット普通では思いつかないような表現がそこかしこに溢れていて、すこぶる楽しい。VS全員で阪神戦のテレビ中継を見ながら併殺に叫ぶ。竹谷さんため息。
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