虚無の王(二)

虚無の玉座に臨み
唾棄すべき愚鈍なる生涯とぐろう市井にて
群がりは羽虫の如き、悪意を啜りて候
破水にもきらめきて、木偶を齧りて候
土くれの胃袋重き、おとがい垂れ凍えて候
虐待の者為らば我が身こそ糞袋の夢なり
然ればこそ負うて選民跋扈の外道にて
過ちをのみ瞠目すれば、肉襲いて候
静謐の耐え難きに耐え間に、性器弄び候
説法の唾飛沫きて、此の世を陵辱せし候
白痴の血脈為らば我が身こそ下等の夢なり
然らずば蔑みを存じる同胞の輩にて
伸ばしたる影潜めても、万人知りて候
密やかな声の大いなること、千里誇りて候
理にひそみに倣いて、百を数えせし候
為らば蝙蝠の卑しき我が身こそ豊饒の夢なり


13 Tunes Elevators/04