RIGHT TO KILL

polnareff2006-08-16

 孤独の果てを越えて自らを死体に倒錯させた連続殺人犯デニス・ニールセン。鏡の中で死体でなくても構わなかった死体と戯れた五年間の夢は、マルキ・ド・サドの亡霊が甦らせた地獄の暗転でもある。彼ら異教の絶望にウィリアム・ベネットの叙情は慄然する程に震えたであろう。それが「殺人する権利」である。「殴り、陵辱し、足蹴にし、切断し、締め上げ、毀し、殺し、食い尽くす、それがお前の権利であり、お前の本性であり、そしてお前の心は救われる」この嘲笑いの逆説はあらゆるもののジレンマへの石礫である。
稲川淳二殺人音響の怪談