ファムファタール

polnareff2005-12-11

テレビでブライアン・デ・パルマの2003年作品「ファム・ファタール」を観る。これぞ映画たるべきラストシーンにて、一転したブレイクビーツによるアブストラクトな終幕までブライアン・デ・パルマは健在であった。カンヌ映画祭のレッドカーペットを背景に宝石と泥棒をレンズ越しに眺めるといった「映画的なるもの」のメタファーによる狂言が、オマージュや演出の再現などのトリコ仕掛け(床に置いたバッグを拾うメイドの背後のショットなど)で目を奪いながら、それが妄想の騙し絵であることを明らかにしていく。この作品の素晴らしさと異常さは、ここで記憶のメビウスがデジャ・ヴを成すところにある。その手腕は陶酔を感じる程に鮮やかにて感服。10点満点の9点。チェルシーガール

▲TOP