プールサイド小景〜魔人ゴング

polnareff2005-08-13

午後、小学生密度70%の市民プールへ。ぎらぎらと太陽の光射すプールサイドにて、ジェームズ・ディーンのイラストが描かれた特大バスタオルに寝そべってポプラ社江戸川乱歩「魔人ゴング」を読み耽ける真っ黒なトンボ眼鏡のゲイボーイは、僕のことである。思春期到来寸前の高学年児童女子の幾人もが、思わせぶりにこちらへチラチラ熱視線を送ってくるが、知らない振りこそ、大人のもっこり紳士の裁量なり。「お嬢ちゃん、美獣に惚れちゃ火傷をするぜ」とジャン・ポール・ベルモンドばりに鼻の頭を触って、あらぬ彼方の空を見やれば、ひとみに漂う透明の埃に「恋」の文字がひとつ鮮やかに浮かび、すわ此れこそ霊感なる超感覚なりと全身ホットにポッポとするも、流れ落ちたる脂汗の滴は止まることなく、心なしかプールの水はイエローに霞み、即ち日射病とはこの頭の中の早鐘なのか。かくて日陰のシエスタの2時間、酔い痴れの僕は元の通りに戻ったよ。過信する程丈夫だね。
夕刻、コンちゃんからのハイライト1カートンのプレゼントでスパスパ社会学じゃあ火まつりじゃあとメートルを上げておれば、近所に住む夏木マリにも加賀まりこにも似た、憧れの美奥さまオーツキさんに僕のふんどし着用がばれ、マリアナ海溝の深さまでたっぷり落ち込む。夜半、モブ・ノリオ君から久々の長電話、出版及び経済状況などの社会的問題から無理矢理ユダヤ陰謀論へ持ち込もうとしてみたが、敢え無く失敗、ロッジはまだ改装中でしたよとのこと。この無為な一日に相応しい、ドゥラッティ・コラム「スケッチ・フォー・サマー」でも聴かせてこましたれ。そや、やったれ。