Hear Nothing,See Nothing,Say Nothing.36

polnareff2004-12-04

「ヒア・ナッシング」更新。12月はポルナレフのロック特集。今回のテーマはパンク。ガソリン吸飲によって見える宇宙で戯る暴力政治結社MC5どおくまん的名曲「キックアウト・ジャムズ」。ジョン・ケイルがポストパンクに逸早く呼応した瞬間を切り取った「サボタージュ」。主観と客観の堤防がドラッグ禍によって氾濫するさまを描いたモダンラヴァーズ「ホスピタル」。カジノ・フォーリーで咆哮するエノケンと思しきルイス・フューレイの悲痛の歌「ルイーズ」。メンフィスの夜覚めやらぬ陽炎のようなアレックス・チルトンの歌声に震える「ホロコースト」、これがアメリカンゴシックの本質であり、かつてのシカゴ音響派と呼ばれたものの潮流を為す真髄である。ソニックユースの臨界点を一曲にして軽々と超越したフィーリーズの「ラヴレス・ラヴ」。ミロのヴィーナスの喪失腕に50センチの爆弾の如きパンチで以って思いを馳せるテレヴィジョン「ヴィーナス」のデモヴァージョンには「ハァン」のコーラス健在に驚愕する。地獄の深淵を覗き込んだシド・バレットの悲鳴と同じ叫びを念力浮遊させて見せたティム・バックリー「スターセイラー」。これが僕の思うパンクである。
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